さらさく

二次創作

導き手の一日

コンコン。
導き手はノックの音で目を覚ます。
ノックは探索メンバーの支度が終わった合図だ。
素早く身支度を整えると部屋から出る。
扉の前で待っていた戦士たちに今日の探索場所を話しながら外へ出る。

日中はすべて探索に費やされる。
あちこち場所を変えながら明日のための調査も欠かさない。
昼になってようやく導き手は食事をとる。
本来、人形であるため食事は必要ないのだが食べない、となるとどうしても手持ちぶさたになってしまうし、どうやら戦士たちにも気を遣わせてしまうようなので、必然的に食べることになる。
すべての探索を終了終えるころには日が傾き始めている。
館に帰り、しばらく休憩したのち夕食をとる。
ここで探索に出なかったメンバーと話をしながら、デュエルに出るメンバーを決める。

夕食後、先ほど決めたメンバーを連れてデュエルへ。

デュエルを済ませると次は明日の探索メンバーを決める。
誰がどの程度記憶を取り戻しつつあるか吟味してなるべく均等になるように気を付けて。

そうして導き手の一日は終わる。

新しい仲間

彼が導き手と出会ったのは不思議な一室だった。
ブレイズは気がつくとそこにいたのだ。
「ここ、は………?」
思わずブレイズは口に出していた。
ほぼ独り言に近いそれに導き手が答える。
「ここはお母様、いえ、聖女様が作り出した未練を残して死した貴方に生き返る機会を与えるための世界です。ただし、条件が1つだけ。地上に戻れた暁には聖女様の復讐に手を貸すこと。生き返るための方法は私についてくること。突然のことで戸惑うこともあるでしょうけど、貴方のような境遇の人もいるから安心して。」
その声にブレイズが振り返るとそこには少女をかたちどった人形がいた。
自動人形にしてはつくりが粗雑だが、しゃべったということはそうであるということなのだろう。
振り返ったきり黙りこんでしまったブレイズに導き手は再度声をかける。
「そういうことだから、私についてきてくれるわよね?」
「……わかった」
そうブレイズが返すと導き手はブレイズの手を引いてその部屋を後にした。

導き手に手を引かれるまま部屋を出たブレイズが見たものは豪奢なエントランスであった。
手を引かれた先に見知った人物がいて、ブレイズは目を見開いた。
相手も同様なようで驚いた様子を見せる。
「グリュンワルド、まさかお前がいるとは…!」
「それはこちらの台詞だ。導き手、まさかこいつもということか?」
「ええ、そうよグリュンワルド。そこでちょっとの間クエストから外れてもらえないかしら?」
グリュンワルドはため息を一つついて答えた。
「……仕方あるまい」
ブレイズには未だ何が何なのかいまいち把握できずにいた。
そんな彼を無視して導き手はすたすたと歩き出す。
「何をやっている。いくぞ」
グリュンワルドに声をかけられ慌ててその後を追った。

着いた先はこれまた豪華な屋敷だった。
導き手はブレイズに待つように言うと奥へ行ってしまった。それに続いてグリュンワルドも奥へ引っ込んでしまう。
一人残される形になったブレイズは特にすることがあるはずもなくぼんやりと佇んでいた。

メレンとカボチャ

クエストを終えてマオたちは館に帰ってきてエントランスに足を踏み入れる。
それを待っていたかのようにブラウともう一人の男が出迎えてきた。

見慣れない人物に緊張したのかマオがぎゅっとエヴァリストのコートをつかむ。
そんなマオに男は微笑みかけ、持っていたカボチャの被り物を差し出した。
「はじめまして、マオさん。聖女様から貴女の元へいくよう仰せつかりましたアコライトのメレンと申します。どうぞよろしくお願いします」
聖女に仕えるアコライト、という言葉に安心したのか、エヴァリストのコートから手を離す。
「お母様から・・・。こちらこそよろしくお願いします、メレンさん」
そう言ってカボチャを受け取ったが、なぜ渡されたのかわからず困っているとそれまで黙っていたブラウが口を開いた。
「そちらも聖女様からあなたへの贈り物ですよ。ハロウィンを楽しむようにと、だそうです」
「ほんと? うれしい!」

マオは自室に戻ると受け取ったばかりのカボチャをおもむろに被る。
さすがにあの場で被るのはこどもっぽすぎて恥ずかしかったからだ。
わくわくとして鏡の前に立つ。
「・・・これって似合ってるっていうのかな?」
首を傾げるが当然のように返事はない。
「そうだ、エヴァリストたちに見せてこよう!」
いうやいなやマオは部屋を飛び出すと居間へ走り出した。

Copyright (C) さらさく All Rights Reserved.