さらさく

二次創作

思い誤る

ガイはこの見た目だけは非常に美しい男、ジェイドを組み伏せていた。

放埓に声をあげる様に、関係をもってしばらくはこちらの経験が皆無であることを揶揄して演技をしているのではないかと疑ったほどである。
それでもこうしてそれなりに続いてもこうなのであるから、もはやそれは疑っていない。
純粋に気持ちがいいから、だろう。
しかし、それでは腑に落ちないこともある。
この男が自分を抱くときには一切そうしたそぶりを見せないからだ。
もし仮定が正しければ、その時には気持ちよさはまるで感じていないことになる。
それは、とても、寂しいし、悔しくもある・・・・・・。

「ふ、ぅ・・・あぁ、ん・・・ふ・・・あぁああ!!」
と一際大きな声をあげて不満げにこちらをジェイドが睨む。
「あぁ・・・、な、にかにっ・・・ん、悩むのは、あっ、結構ですが、・・・今は、集中・・・・・・ふぅ、・・・・・・して、くださいね?」

その言葉に少々苦い笑みを浮かべて、答えた。


事がすんで、その余韻に浸っているとき、思い出したようにジェイドが口を開いた。

「そういえば、今日はずいぶんと余裕がおありでしたねえ。全く、なにを考えていたのだか。こういうときにそんな態度はいただけませんね。まぁ、あなたなら仕方が無いのでしょうが」
「ジェイド、それは悪かったって」

まさか、考えていたことをそのまま話すわけにもいかず、ガイはごまかすようにして謝った。
それを聞いたジェイドはわざとらしく声を上げ、

「おや、きちんと反省していただけたようですね。それで私をおざなりに扱うほど考えていたことはなんなのですか?もし、くだらないことだったら・・・・・・・・・」

と途中で声を低くしながら威圧し追及の手を止めようとしなかった。
これ以上はごまかすことはできないと、ガイは腹をくくって考えていたことを全て、それはもう洗いざらい話さざるを得なくなった。

全てを聞き終わると、ジェイドはにいやりとそれはそれは人の悪い、それでいて色気のある笑みを浮かべた。
そして意地悪くもったいぶって言った。

「かわいいですねぇ、ガイは。とってもかわいいのでそのままにしておきたいですが、それはかわいそうなので教えてあげましょう」

恥ずかしさと、言わされたことでむくれているガイは返事をせずに、しかし聞く意思はあるようで注意がジェイドに向いた。

「まあ、貴方の考えは外れていませんよ。声を上げれば上げるだけ気持ちよくなるでしょう。私も、貴方も。そして貴方を抱くときのことですが・・・もし、私も声を上げてしまったらあなたの声が聞こえないでしょう?それは、もったいないですよ。せっかくするのですから」

あんまりにもあんまりな言葉に怒りなのか呆れなのか恥ずかしさなのか、とにかくごちゃ混ぜになってガイはただただ、向き直ってジェイドを見つめることしかできなかった。
それに追い討ちをかけるようにジェイドが言葉を付け加えた。

「そうそう、今度貴方を抱くときはとびきり声を上げてくださいね。そうしたら・・・ね」

そうして、もう一度ジェイドはにいやりと笑った。

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