さらさく

二次創作

秋の過ごし方

「は~い、今週もやってきました。623の俺ラジオの時間です。みんなの秋はどんな秋でしょうか?俺の秋はズバリ・・・・恋愛の秋です」
本当はそんなことは難しい幻想と思っていてもリスナーが飛びつきそうな話題を選ぶ。
リスナーから送られてきたはがきを読み上げてコメントしながら、俺はクルルのことを思い浮かべていた。
俺は好きで好きでたまらない。
だが、クルルは恋愛とかに興味を持っているのだろうか。
少しは気にかけているのだろうか。
俺だけがクルルを思っているだけなんてことだったら、やはり寂しい。
よし、これが終わったら、せっかく「恋愛の秋」を宣言したのだからデート、いや、外出だけでも誘ってみようかな。
でも、クルルがそう簡単に了承してくれるとは思えない。
何か良い案はないのだろうか。
その時、俺の目に1枚のはがきがとまった。
それはありふれた恋愛体験を綴ったものだったが・・それを手にして読み上げる。
「次は○○県××市△△さんからのはがきです。私は今の彼氏とつきあってもうそろそろ1年になります。彼氏は勉強とかにしか興味がほとんどないような人でしたが、去年の今頃、「秋」を利用して告白したら、OKされちゃいました。付き合うようになったきっかけは、「芸術、文化の秋」です。秋には様々な文化系のイベントがあり、それで彼氏を誘っていったら、趣味が合うね。ってことになったからです。この時期はいろいろイベントがあるから、好きな人の趣味に合わせてみたらいいことがあると体験しました。いろんな秋に感謝です!!」
これは・・・使える!!

「△△さんは「芸術、文化の秋」と「恋愛の秋」をしたんですね~。確かにいろんな秋がありますね。たくさんの秋を味わって見るのもいいかもしれません。それでは今週はこれでお別れです。来週またお会いしましょう!!」
収録がおわってすぐ俺はクルルの所へ向かった。
クルルは相も変わらず何かの発明&実験をしているようだった。
「ね~クルル~。どっか出かけない?」
すると思っていたとおり、
「めんどくさいからごめんだぜぇ。そもそもなんで断るってわかるのにいちいち誘いにくるんだ?」
ここからが勝負だ。
いかにクルルを外出に誘導するか・・・。
ここは、ストレートにいこう。

「好きだからだよ。一緒に出かけたらいいなあって思ってさ。望み薄でも試さないことにはわからないしさ」
どうでるか。と俺は固唾をのんでクルルの反応を伺った。
クルルはプイッとそっぽを向いてしまった。
しかし、顔を背けられていても頬が赤く染まっているのがわかる。
これは脈アリだ。
「・・・・行く」
それは小声だったが確かに「行く」っと言った。
「そんなこっぱずかしいことその度言われそうだから行く。それで、どこにいくんだ?」
けだるげにいすから立ち上がるクルルに
「ほら、文化の秋が近いからさ、適当に館って名の付く所を回ろうよ。きっとクルルも気に入るものの1つや2つは見つかるよ」
その返答にクルルは、はぁ。っと完全に諦めた様子になった。
「これが別の、アウトドア系なら断れたのに・・・」
とかぶつぶつ言っているクルルと一緒に外へでる。
嬉しさに顔がほころぶ。
さあ、あなたの秋はなんですか?

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