さらさく

二次創作

ある少女の思考に至る過程

その日、セーシェルはフランスの家へ来ていた。
セーシェルがインターホンを押すと、家の中から、開いてるから玄関に入ってて、と返事があった。
セーシェルはドアを開けて玄関に入ると、元気良く挨拶をした。
「フランスさん、おはようございます!お菓子もらいにきました」
「おはよう、セーシェル。今持って来るからちょっと待っててね」
「はい」
少しして、奥からお菓子が入っているのであろう包みを手にフランスが出てきた。
「はい、約束のお菓子」
フランスはセーシェルに包みを渡した。
セーシェルはそれを受け取るといそいそとバックの中へ入れた。
「ありがとうございます。これで安心してイギリスさんのとこへ行けますよ」
と、セーシェルが言うとフランスは苦笑して、
「確かにアレはテロ級だからな…。イギリスにセーシェル取られた上、セーシェルがスコーンテロにあっちゃったりしたら、お兄さんどうにかなっちゃうよ」
と言った。
「じゃあ、フランスさん。いってきます」
「いってらっしゃい」
セーシェルは機嫌よくフランシスの家から出ていった。

セーシェルの後ろ姿が見えなくなってから、フランスはそっとため息をついた。
「全く…。大事にしてたセーシェルを横から掻っ攫ってった奴とのデートの手助けしちゃうとか、ほんとお兄さんってば優しいよね――」
ああ、もう。次イギリスに会ったらからかっていじめてやる。とフランスは心に決めた。

セーシェルはフランスに貰ったお菓子を持ってイギリスのもとを訪れた。
「おはようございます。イギリスさん。来ましたよー」
「おう。おはよう、セーシェル。中入れよ」
「はーい」
セーシェルはイギリスの後をついて中に入った。
その辺のソファーに座り、イギリスが紅茶を淹れに行くのを見送った。
フランスさんからお菓子貰ってきたんでスコーンいりません。
そう言おうとしたけれども、セーシェルは言い出せなかった。
きっとそのまま言ったらイギリスはイギリス自身に都合の悪いように解釈してしまうに違いない。
なぜイギリスがそういう思考ばかりに行きやすいのかよくわからなくてもどかしい。
と、そこまで考えたところでセーシェルは急に恥ずかしくなった。
恋人になる以前はほとんどこんなことは考えずに自分の言いたいことをイギリスに言えていたことに気が付いたからだ。
恥ずかしい、恥ずかしい。
そんな気持ちでいっぱいになったセーシェルはそれもこれもさっさと紅茶を持ってきてくれないあの眉毛のせいだ、と思うことで必死に顔に出さないようにしながらイギリスを待っていた。

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